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  • 2025.01.10

高齢者の就業とウェルビーイング(第一生命経済研究所)

高齢者の就業とウェルビーイング

①高齢者の就業意欲

高齢者の就業意欲は高い。2019年度に行われた内閣府の調査によると、60歳以上の8割以上が65歳以降も仕事をしたい、あるいは、したかったと回答

⑥高齢者の生活意識と働く理由

「国民生活基礎調査(2023年)」によると、高齢者世帯は生活が「大変苦しい」(26.4%)、「やや苦しい」(32.6%)と、59.0%の高齢者世帯が生活に苦しさを感じている。これらの割合は前年度調査と比べ上昇している。

他方、高齢者が働く理由について、内閣府「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(2020年)」(注3)によると、就業を継続する理由は「収入が欲しい」(51.0%)、「体によい、老化を防ぐ」(23.1%)、「仕事が面白い、活力になる」(15.8%)、「友人や仲間を得る」(6.9%)となっており、経済的理由が過半数を占める。

これらの調査結果を踏まえると、高齢者が働き続けるのは、経済面での生活の苦しさを和らげることが目的であるケースが最も多いといえる

⑦就業している高齢者のウェルビーイング

2017年の厚生労働科学研究費研究の報告書(注4)によると、高齢期の社会参加としての週2~3日以上の収入を伴う仕事は低い幸福度と関連し、「収入のある仕事に就いていない」、「年に数回から月に4・5回働いている」ケースの方が幸福度が高いことが示されている。働く機会が多いことが必ずしも幸福度に正の影響を与えるわけではない

働く意思を持つ高齢者の希望と実際に提供される職場とが不適合な状態にあると、高齢者のウェルビーイングは低下する。

評価・昇給のルールの非適用については、2011年の独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査研究報告書(注5)によると、高齢社員(60歳以上)に人事評価を実施している企業は53.5%と約半数にとどまり、全員に対して昇給がない企業が71.6%存在

希望する職種の最多が「事務(23%)」である一方で、実際の就職先の最多は「運搬・清掃(33%)」であるというミスマッチが発生しているなど、「希望する仕事」と「就いた仕事」に大きな差があることが示されている。高齢となり、従前勤めていた企業を退職した場合は希望する職種に就くことができずにストレスを感じるケースが相当数存在する

他方、同じ企業での就業を継続する場合は、賃金、評価、役割・職務の変化は存在するであろうが、職種のミスマッチによるストレスは軽減される

(以上原文引用※詳細はタイトルをクリックしてください)

2025.1.9 第一生命経済研究所

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