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  • 2021.07.20

第6回 働く人の意識調査(日本生産性本部)

第6回 働く人の意識調査

わが国の企業内教育は、伝統的に欧米企業に比べて Off-JT より OJTの占める割合が大きいと言われている。そこで、最近 3 か月(4 月以降)の間に、OJT を行った機会の有無、受けた機会の有無を 4 月調査に続いてそれぞれ質問した。調査結果から、OJTを行う機会が「あった」は 4 月調査の 14.9%から 16.9%に、OJTを受ける機会が「あった」は同 14.9%から 17.6%にそれぞ
れ微増したが、いずれも統計的有意差は無い(図 34・35)。Off-JT同様、わが国の OJT 実施率は決して諸外国に対して誇れるレベルとは言えない。

勤め先の、このような教育の現状に、雇用者は満足しているのであろうか。このため、今回の調査では、自分が勤め先から受けている教育機会/教育内容の満足度に関する設問を新設した。その結果、教育の「機会」について「満足している」5.2%、「どちらかと言えば満足している」35.3%、合わせて 40.5%が「満足」と考えている。「満足していない」は合わせて 59.5%で、不満を持っている者の方が多い(図 36)。教育の「内容」についても同様で、「満足している」は合わせて38.7%、「満足していない」は合わせて 61.2%という結果である(図 37)。雇用者の多くは、勤め先の教育の現状に満足していないことが明らかになった。

 

年代別に見ると、教育の機会について不満を持つ者の割合が最も多いのは 40 代である。次いで 30 代、50 代の順となっており、40 代以降は年代が高くなるにしたがって満足の割合が増加、
不満の割合が減少し、70 代ではじめて満足が 51.8%と不満より多くなる。「どちらかと言えば満足していない」「満足していない」の合計だけでなく、「満足していない」と明確に不満を持つ者の割合についても、同様の分布を示している(図 38)。なお、40代を中心に不満を持つ者の割合が多い傾向は、教育の内容についても見られる。内容についても 40 代以降、年代が高くな
るにしたがって満足の割合が増加し、不満が減少している(図39)。なお、OJT については不明であるが、Off-JT で提供されている教育内容は図 33 の通りである。ただし、既述のように教育内容は時期によって「季節変動」と推測される差異があるので、年間を通じてどのような内容の教育が行われているのか、また、それが雇用者の求めるものと合致しているかどうかは、
更に調査を重ねないと分からない。

 

低調な自己啓発を活性化する方法は無いのだろうか。この点では、勤め先での教育への取り組み状況との関連性がヒントになる。Off-JT 受講有無別に自己啓発実施状況を見ると、「受講した」者の自己啓発実施率は 44.1%と、受講しなかった者の実施率を有意に上回っている(図 41)。同様に、最近 3 か月間で OJTを受ける機会があった者の自己啓発実施率は 33.0%で、無かった
者の 11.8%を、これも有意に上回っている(図 42)。これらの結果から、Off-JT、OJT は、それ自体としても大切であるが、自己啓発意欲を喚起する副次的な効果があるものと思われる。「Off-JTの受講者が、教室を一歩出ると、つい先ほど教わったことをすっかり忘れている」という戯画的な話が巷間伝わるが、実際には必ずしもそのような者ばかりではなく、知的な刺激を受けて、自己啓発に取り組むきっかけを与えられた者が一定数いると考えるべきであろう。OJT についても同様で、職場での学びがきっかけとなって自己啓発につながるケースがあることを示している。ただ、残念なことは、前述のように現状では Off-JT、OJT 共に実施率が低いことである。

(以上原文引用※詳細はタイトルをクリックしてください)

2021.7.16 日本生産性本部

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